気管虚脱
気管虚脱とは
気管虚脱は、一般に不治の病として扱われることが多い病気です。 しかし適切な手術により治すことが可能な病気です。 気管は、C型の軟骨がそれぞれ輪状靭帯というものでひっついており、その背中側には膜性壁という筋肉の部分があります。 それがのど(喉頭)から気管支(心臓の上の部分)まで続いています。 気管虚脱というのは、この気管軟骨が弱くなりつぶれてしまい、膜性壁がのびてしまう状態のことを言います。 原因は未だ解明されていませんが、遺伝的要素・飼育環境・外的圧迫などが考えられています。 気管虚脱になると、咳や呼吸困難、ガチョウのようにガーガーと呼吸をするなどの症状が見られます。 また、より強い力で息を吸わなければいけないため、気管もその力により更につぶれていくと考えられています。 ほとんど無症状のまま経過して、急激に上記のような症状が出る場合もあります。
古くはさまざまな治療法が試みられてきましたが、手術後容態が安定しない事が多かったため、獣医療の中で定着することはありませんでした。1990年小儀先生によって、用いられた方法により、優れた治療成績が得られ、私の恩師でもある米澤先生により更に改良が加えられました。 実際私も200例以上の手術米澤先生執刀の元、一緒に経験させていただきましたが、手術前に呼吸もままならない状態の子達が、手術後まるで平然と呼吸を出来ている状態を幾度となく体験させていただきました。 それでも、治療に用いる材質を作るのにコツがいる事や、手術自体非常に細かい手技が要求される事、 気管の近くに重要な神経や血管が走っていることな どにより、敬遠されがちな手術だと思われます。 しかし手術により、残念ながら全ての症例とはいきませんが、多くの子たちは助けることができると思われます。 以下に気管虚脱の進行状況を記載します。
気管虚脱は程度により4つに分類されます
気管虚脱は4つのグレードに分類されます。 グレード1が全体の25%以下の虚脱、その後25%毎あがっていき、グレード4では75%以上の虚脱状態となり、 気管はほぼ 閉塞している状態になります。 それでも、頸部気管(上記の①)だけであれば手術によって完治できる場合もあります。 ただし、グレードが進むほど術後の咳などの合併症はやや出やすくなる傾向にあります。 そのため、可能な限り早期発見、早期治療することが重要になります。だからといって、Grade1な ど初期のものは、あまり症状も出ないですしすぐに手術する必要性も高くありません。要はその子の年齢や既往歴などを考え、その子に一番合った方法を患者さ んのご家族と一緒に考えていく事が重要だと考えます。
もう一つ、気管虚脱を考える点で重要なのは、気管虚脱は内科治療に対する反応は非常にわかりにくい点です。 特にGrade1や2の初期の時点では、無治療でも症状が落ち着くことも少なくありません。 その後しばらくしてから、前触れなく症状が以前よりかなり重症化して突如現れることがあるので注意が必要です。 一度気管虚脱と診断されたら、定期的な検査とともに時には手術を決断する必要があります。 また気管虚脱は通常のレントゲン検査だけでは非常に見逃しやすいので、当院では特殊なレントゲン撮影法により、 気管虚脱の診断精度を高め出来るだけ正確に病態をとらえることを心掛けております。 以上を踏まえますと重要な点は以下の3点になります。なお当院では、恩師であるアトム動物病院の米澤院長が考案した気管外プロテーゼPLLPを用いますので、詳しい手術方法に関してはご来院いただいて詳しく説明させていただきますのでどうぞ、お気軽にお越しください。
最後に・・・
アトム動物病院勤務の間、幸運な事に私は200症例ほど米澤 先生執刀のもと手術に立ち合わせていただく事が出来ました。
この貴重な経験をこの場をお借りして感謝するとともに、その経験を何より患者さんにこれから還元していけますよう努力していきたいと思います。
中村区のふぁみりあ動物病院は気管虚脱の診療も行っております。
名古屋市中村区にございます、ふぁみりあ動物病院は、気管虚脱の診療も行っております。治療の難しい気管虚脱ですが、早期診療、適切な治療を行うことで、
症状が改善することも多い病気です。
気管虚脱かもしれないと、お悩みの方は中村区のふぁみりあ動物病院にご相談下さい。
〒453-0813
愛知県名古屋市中村区二ツ橋
1-29-1
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