ブログ
はみがきじょうずかな?その②
獣医師の伊藤です。
今回は、わんちゃん、ねこちゃんの歯のケアに関連して、よく飼い主さんに質問されることについてお答えしようと思います。
それは、
「歯石を取るには、麻酔をかけなきゃいけないの?」
「歯石を取るだけなのに、全身麻酔をかけるなんて、かわいそう・・・」
といったご質問です。
確かに、手術でもないのに全身麻酔というと、少し不安になってしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。
近年、わんちゃん、ねこちゃんも寿命が長くなったことや食生活の多様化、小型犬の増加などによって、歯周病が問題となるケースがとても増えています。
犬や猫では、人のように虫歯が出来ることはほとんどありませんが、歯や歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)に歯石がたまることによって歯周病になってしまう事が多いのです。
歯周病になると、口が痛くてご飯が食べられなくなったり、歯が抜けてしまうなど、口の中のトラブルはもちろん、ひどくなるとほっぺから膿が出て治らなかったり、あごの骨が折れてしまう事もあります。
また、歯石の中の細菌が血液に入り体の中を回って、心臓や骨などに細菌感染を起こすことも知られています。
ここまでひどくなる前に、歯石を取ってあげれば、歯周病は防ぐ事が出来ます。
ではまず、麻酔をかけずにできる歯石除去について。
麻酔をかけずに歯石を取る場合は、ハンドスケーラーという、先の尖った器具を使って、歯の表面の歯石を削り取っていきます。
麻酔のリスクがないという点では大きなメリットですが、かなり大人しい性格の子以外は、なかなか難しい処置といえます。
先端が尖った器具を使用しますので、処置中に動くと歯茎を傷つけてしまったり、口を触ることを拒否するようになってしまう子もいます。
また、この方法では、歯周病の原因となる歯周ポケットの歯石を取ることはできません。
麻酔をかけて行う歯石除去では、超音波スケーラーといって、超音波で歯石を粉砕して除去する器械を使用します。
この場合、粉砕された歯石を肺に吸い込んでしまうと肺炎の原因となりますので、必ず全身麻酔をかけて気管内挿管(気管に管を入れること)が必須となります。
この方法では、歯周ポケットや歯の内側の歯石、歯と歯の隙間など、細かいところの歯石もきれいに取れるので、歯周病の予防には非常に効果的です。
また、当院では歯石を取った後に、歯の表面をつるつるに磨く処置(ポリッシング)をすることによって、新たに歯石が付着しにくくしています。
全身麻酔に関しては、もちろんリスクが全くないとは言えませんが、術前にきちんと検査してその子の健康状態を把握し、最適な麻酔薬の種類や量を組み合わせて行うことによって、安全に行う事が出来ます。(基礎疾患などがある場合は全身麻酔がかけられない場合があります)
このように、どちらの方法にも良い点、悪い点がありますので、その子の状態に応じた方法を選択するのがいいかと思います。
個人的には、ハンドスケーラーによる歯石除去は、普段の歯のケアの延長としてできる範囲で行い、必要に応じて麻酔下での歯石処置を行うことをお勧めしています。
疑問などありましたら、お気軽にお尋ねくださいね。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…
ふぁみりあ動物病院
http://www.familiar-ah.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
住所:愛知県名古屋市中村区二ツ橋 1-29-1
TEL:.052-462-8791
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆